口から食べる機能の障害(摂食・嚥下障害)
(岩手医科大学大学報掲載)
2011-09-06
歯科補綴学第一講座 講師・口腔リハビリ外来 医長
古屋 純一
口から食べる機能の障害とは?
私たちが毎日行っている口から食べること。実は、口やのどの筋肉の複雑な運動によって行われています。水やお味噌汁を慌てて飲んだ時にゴホゴホとムセるのは、その運動がうまくいかなかった時です。特に、歳をとったり、脳梗塞・脳出血・神経の病気になって、口やのどの動きが悪くなると、よく噛めなくなったり、のどの通りが悪くなって、上手に食べられなくなることがあります。口から食べる機能の障害(摂食・嚥下障害)があると、気管に食物や水分を間違って飲みこんで、肺炎や窒息の原因となったり、栄養や水分が十分に摂れない原因にもなります。
どのような検査がありますか?
検査左:内視鏡、右:レントゲン検査口腔リハビリ外来では、口から食べる機能の検査を行っています。検査には、その日にすぐできる簡単な検査と、予約が必要な精密検査があります。精密検査は、カメラやレントゲンを使って食物の動きを観察します。
検査の結果によっては、食べる機能のリハビリが必要になることがあります。食べる筋肉の訓練をしたり、飲み込み用の特殊な入れ歯を作ったり、場合によっては医科にご紹介して一緒にリハビリを行う場合もあります。食事の調理法や食べ方を変えるだけで、上手に食べられる場合もあります。美味しく食事をすることはすべての人に共通する楽しみです。安全な食べ方の基本は、慌てず・正しい姿勢で・よく噛んで・しっかり飲み込むことです。その他にも、寝たきりの方の口腔ケアや、自宅でできるトレーニング法を指導して、肺炎の予防や、いつまでも安全に美味しく食べるお手伝いを致します。
摂食・嚥下障害セルフチェック
ひとつでもあれば要注意!
□お茶でよくむせる
□食事に1時間以上かかる
□声がいつもゴロゴロしている
□つばを上手に飲み込めない
□食事がいつも口の中に残っている