頬棚はなぜ重要なの？
2011-02-10
下顎多数歯欠損の義歯では頬棚が重要なポイントになります。特に全部床義歯では重要です。頬棚ってどこ？っていう方いらっしゃいませんか？
頬棚の場所ってどこ？
頬棚とは、前方を頬小帯、外側を外斜線、内側を顎堤頂、後方をレトロモラーパッド前縁で囲まれた領域のことを指します。外斜線は、歯肉を指でなぞるとわかると思いますが下顎骨体の縁です。研究用模型でも微妙に隆起しており外斜線は判別可能です。
頬棚はなぜ重要？
頬棚は平坦な領域が多く、下顎骨の形態も咬合平面にだいたい平行、つまり咬合力に垂直なので咬合圧を負担するのに適しています。逆に言うと下顎ではここまで適した領域はここしかありません。上顎なら口蓋や顎堤頂あたりで咬合圧を負担できますが、下顎では頬棚をしっかり覆わなければ咬合圧が粘膜負担できない、ということになります。顎堤がフラットになってきたとしても、外斜線はしっかりわかります。外斜線までは頬側の床縁を持ってこないと咬合力負担がうまくできず、もしかしたら痛みが治らなかったりするかもしれません。
このように下顎義歯の頬側には頬棚が含まれる必要があります。下顎の顎堤がしっかりしていて幅が広い場合、あまり問題にはならないかもしれませんが、顎堤が吸収してくると頬棚はかなり重要な存在となります。高齢社会になり義歯を使用している年数が長く顎堤条件の厳しい方が多く来院されると思います。そういった時頬棚がしっかり覆われている義歯かどうか、またそういった義歯を作るかどうかで予後がかわってくるかもしれません。
