概形印象のコツ下顎 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野

概形印象のコツ(下顎編)

2011-08-25

 下顎無歯顎の概形印象は、上顎に比べてかなり難しいです。その理由としては、動く舌がある、口腔底をどれぐらいの深さまでとればいいかわからない、など色々な要因が考えられると思います。まず上顎編と同じようにやってみましょう。

旧義歯を評価、比較してみる

旧義歯1

旧義歯はこのような状況です。旧義歯を参考に大きさを決めてみましょう。



義歯との比較

この義歯は左右で大きさが異なります。こういった場合、口腔内で左右どちらがより適切かを判断します。この場合、患者さんの左側が右側に比べてより適切な印象であると考えられたため、左側を参考にトレーを決定します。



義歯との比較

だいたい既製トレーで足りない部分はパターンで分かりますので、そこにユーティリティーワックスを追加して行きます。勿論ぴったりであれば追加する必要はありません。



①まずトレーの後ろとレトロモラーパッドの位置関係を試適で確認し、トレーにレトロモラーパッドが含まれるかどうかを確認します。
②足りないようなら、ユーティリティーワックスを追加します。
③その位置で再試適し、頬側臼歯部のトレー床縁と外斜線との位置関係、前歯部口腔前庭との位置関係を確認し、足りなければユーティリティーワックスを追加します。
④さらに再試適し、舌安静時の口腔底とトレー床縁の距離を観察し、足りなければユーティリティーワックスを追加します。
⑤問題なければ、アルジネートで印象します。アルジは結構硬めがいいと思います。上顎よりも硬め。舌などにはじかれないような硬さが必要です。

とった印象を評価する。

 と意気込んだ割には印象を失敗してしまいました。残念。
下顎概形印象

上顎と同じように解剖学的なランドマークがしっかり含まれているかどうかを確認します。
外斜線や顎舌骨筋線は印象材がへこんでいるのでわかります。外斜線は顎舌骨筋線より見にくいですが、指でさわるとわかります。




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