咬合採得は患者任せ? 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野

咬合採得は患者さんに咬んでもらって終わりでいいですか?

2011-09-06

 天然歯同士で咬合が確立されている場合の咬合採得と、すれ違い以上の欠損での咬合採得は全く難易度が違います。目指すべきゴールは一緒なのですが、天然歯同士が咬合しており、目で見て水平的、垂直的関係が理解できる欠損と異なり、無歯顎にはそういった指標が全くありません。

 こういった場合、患者さんの顎位の指標として一般的に中心位が用いられます。中心位は最後退位と未だに思われている方もいらっしゃるようですが、20年以上前から中心位は最前上方位であると定義されています。目標は中心位なのです。中心位は基本的に術者が誘導するものです。患者さん任せで咬ませると、基本的に顎は前方へ変異することが多いものです。

 中心位に誘導する方法として、最も有名なのはDawson法です。しかし、この方法は水平位で両手を下顎に当てて誘導するので全部床義歯だと、口のなかで義歯が動いてしまい、顎位どころではなくなる重大な問題があります。そのために義歯の場合、Boucher法で顎位を誘導、決定した方がよいと考えられます。Boucher法の場合、顎位を後ろに押し込みすぎる場合がありますので注意が必要です。


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