気管切開していれば安全ですか?
2011-09-06
気管切開は気道確保や呼吸の不安定な人の管理を目的として行われています。
「気管切開をすれば気道が塞がれるから誤嚥しなく、安全」と書かれている情報もありますが、それは全くの間違いです。確かに切開部より挿入されている気管カニューレのカフバルーン(気管を広げる風船のようなものです)の上に誤嚥した食物がたまるため、誤嚥を一時的に防ぐことはできます。ところが、時間とともに脇から漏れてきたりと、完全に誤嚥を防ぐことはできません。また、カニューレの存在は嚥下運動にとっては不利な点が多いと言えます。他にも、気道内圧の上昇不良を起こすために喉頭侵入・誤嚥した食物を咳により排除することが困難であったり、物理的刺激によって痰などの気道分泌物が上昇してしまったりします。
可能であれば気管切開を塞いでから嚥下訓練を開始することが望ましいとされますが、現実的には困難な場合が多いです。当外来で行う場合は医科の主治医と相談の上、嚥下訓練の時だけカフ圧を緩める、スピーチカニューレという種類に交換して訓練を行うなどの対応を行います。
このような形でカフの上にたまり、カフ圧が下がったりした時に誤嚥する危険性は十分あります。なので絶対に気管切開が安全とはいえません。