保険のきかない高い入れ歯の長所、短所について
2011-09-06
保険のきかない入れ歯には色々とあります。色々な分類の仕方があると思いますが、今回は説明しやすいように代表的なものを分類します。
①金属床義歯
②アタッチメント義歯
③テレスコープ
④インプラント義歯
⑤シリコン義歯
⑥ノンクラスプ義歯
基本的に現在最も多く装着されている保険外の入れ歯は①だと思います。
①金属床義歯
Co-Crやチタンを使った入れ歯のことです。入れ歯の多くの部分を金属で作るため、以下のような長所があります。
・強度が高い。
割れにくくなります。
・強度が高いため、薄くできる。
薄くすれば違和感も少なくなります。
・熱伝導率が高い。
熱いものを熱い、冷たい物を冷たいと感じる。
・プラスチックの入れ歯よりもあいがよい。
金属を鋳造して作りますのでプラスチックの入れ歯よりもあいます。
・チタンを使用した場合、軽い
チタンは非常に軽く、またアレルギーが出にくい材料です。
いいことばかりなようですが、少し問題もあります。何年かたって少し緩くなったときの対処がなかなか難しいのです。プラスチックの入れ歯ならば、入れ歯と歯ぐきの間にあいてしまったスペースに再度材料を流し込むことにより、再びぴったりさせることができます。しかし、金属床義歯の場合、材料を流し込めば厚みがでてしまい、せっかくの薄いという特徴が消えてしまいます。また、材料が熱を遮ってしまい、感じにくくなります。さきほど挙げた長所がかなりの部分なくなってしまうのです。つまり、修理よりも新しくまたお金を出して作った方がよい、ということになることもありますので、製作前にはよく歯医者さんと相談して作った方がよいでしょう。
部分入れ歯の場合、自分の歯を抜歯した後、入れ歯を修理して、その部分に入れ歯を足すような修理を行うことがあります。あまりにも金属を使用しすぎるとそういった修理が困難になります。自分の歯が近い将来抜歯やその他の治療が必要になりそうな場合、金属床義歯はおすすめしません。
また、部分入れ歯のはりがねが折れてしまう場合も考えられます。こういった場合、チタン製の入れ歯をお使いならばレーザー溶接により比較的簡単に修理することができます。しかし、チタンの入れ歯は元々製作するのが難しいため値段が高くなります。
上下ともに金属で作った総入れ歯です。上の入れ歯の中央部分の厚みが薄いと装着感が良いと考えられています。またプラスチックの入れ歯よりも歯ぐきとの合い方が良くなります。薄くて熱を感じやすいので違和感が少なく味もよくなるといわれています。
②アタッチメント義歯
歯が残っているときに、その歯と入れ歯に磁石をくっつけて磁力を利用して入れ歯を外れにくくする方法があります。これを磁性アタッチメントといいます。また、歯に特殊な装置をつけて入れ歯と機械的にかちっとはまるような入れ歯もあります。これらを総称してアタッチメント義歯といいます。磁性アタッチメントは自分の根が残っているときに比較的簡便に行うことができ、下顎の入れ歯が浮き上がりやすい方などに効果があります。しかし、磁力を発生するため、頭部のMRIを撮影する場合、画像がみだれる恐れがあります。よって、頻繁に頭部MRIを撮影する方にはおすすめできません。
③テレスコープ
歯を土台のような形にしてしまい、それにかぶさるように入れ歯を作る方法です。歯を全て土台にした場合、入れ歯を外した状態では、歯は全て土台の形なのでかむこともできませんし、見た目も悪いです。現在ではあまり頻繁には行われていませんが、自分の歯同士でかむところがない、いわゆるすれ違い咬合の方が適応となります。
④インプラント義歯
インプラントを何本か打ってその上に入れ歯をのせる方法です。インプラントを入れてその上に差し歯を入れる方法ではうまく行かない場合、こちらの方法を選択します。入れ歯の動きはかなり小さくなり、簡単に外れてしまうこともなくなります。
⑤シリコン義歯
最近流行している方法です。入れ歯にシリコンを使用したクッション材をひくことで痛みなどを少なくすることができるという入れ歯です。しかし、一般的に柔らかい材料は寿命が短く汚れやすいため、その効果や予後に関してはまだ確立されているとはいえません。
⑥ノンクラスプ義歯
これも最近流行している方法です。部分入れ歯の針金が見えるのがいやな方に対して、針金の部分を強化プラスチックのようなもので製作します。金属が全くない部分入れ歯を製作することもできますが、歯ぐきが痛んだりすることもあるため、色々な設計が考えられたり改良が加えられています。よってこれもまだ確立した方法とはいえません。
(2009.4.22追記)ノンクラスプ義歯に対する日本補綴歯科学会の見解が発表されました。ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
ノンクラスプデンチャー見解