入れ歯の紛失防止 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野

施設に入所しています。入れ歯を紛失しないか心配です。

2011-09-06

 介護保険に導入により、特別養護老人ホームやグループホーム、デイサービスなどを利用される方は多いでしょう。また高齢社会において入院される方も多いでしょう。そういった多くの方が出入りする状況で入れ歯を紛失しないか心配の方もいらっしゃると思います。
 数年前にある施設に訪問歯科診療を行った際、ある方の入れ歯が見つからず大変だった経験があります。入れ歯は同じような色をしていますし、素人目から見るとどれがだれの物かわからないと思います。入れ歯の紛失、混在を防ぐためには、

①必ず本人の名前の書いた入れ歯ケースを用意する。
 100円ショップで売っているようなプラスチックケースでかまいません。

②ご飯を食べて外して洗ったら、本人の口、または入れ歯ケースに必ず戻す。
 これを忘れるとどこにいったのか、だれのものかわからなくなります。ナース、ヘルパーでしっかり規律を作って行動されるのが良いと思います。

③それでも心配なら、歯科医院で入れ歯に名前を入れてもらう。
 入れ歯には歯科医院で名前を入れる事ができます。これが最終手段となるでしょう。ただし、全ての歯科医院で行っているわけではないと思います。また名前を入れるのを嫌がる方もいらっしゃると思いますので注意してください(実際私は何人かに断られました)。

 入れ歯をなくした場合、当然製作するのにはそれ相当の時間がかかりますし、費用もかかります。食べるのにも支障がでます。被害者も加害者も良い思いをしませんので、なくさない対策を立てた方がよいでしょう。

なくすのが怖いので24時間入れ歯をいれておいてよいですか?

 これはあまりよくありません。入れ歯が不潔になりやすいです。身体的に障害を有している方などは、どなたかの介護を受けなければ入れ歯を洗うこともできない場合があります。そういった方の入れ歯を24時間入れ続ければ大変不潔な入れ歯になってしまいますし、当然誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
 また、歯ぐきというものは一日の中で何時間かお休みした方がいいと考えられています。よってやはり入れ歯を外して寝た方がよいでしょう。それが無理なら、起きている時に何時間か外しておくのがよいでしょう。

作ったばかりなのに紛失しました。どうすればよいですか。

 これは最もよくないパターンです。入れ歯を新しく保険で製作すると、製作してから半年間は保険で新しく製作することができません。つまり半年間の間にどうしても入れ歯を作りたければ実費で製作する必要があります。保険が使えませんのでかなり高くなるかもしれません。よって製作したばかりの入れ歯は紛失しないように注意してください。




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