入院時の入れ歯 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野

入院したら入れ歯は必要ないですか?

2011-09-06

 入院している多くの方が色々な管をつながれている風景はよく見るものだと思います。病気に打ち勝つためにはまず基礎となる体力が必要で、静脈などから栄養を直接血管にいれる方法や、鼻から栄養を直接胃に送る方法がよく用いられます。こうなるとお口からご飯を食べるわけではないので入れ歯は全く用なしということで入院時に全く使用しなくなるケースが多く見られます。

朝入れ歯が入りにくいでも述べましたが、入れ歯は長期間使用していないと入らなくなる可能性があります。元気になって退院してさあ入れ歯をいれようとしたら入らない!!ということが起こりえるわけです。
 ケースにもよりますが、将来的に十分回復し、お口から栄養をとることができる可能性があるならば、入れ歯を定期的に入れてみて入らなくなるようなことがないようにした方がよいでしょう。入らない場合、修理で直る場合もありますが、入れ歯を新製しなければならない場合もあります。
 また入院中は体重が急激に減少することが多く、それにより入れ歯が緩くなったと訴える方もいらっしゃいます。そういった場合、入れ歯を修理すれば再び使える場合もあります。あまりにも緩い場合は新製した方がよいでしょう。
 注意していただきたいのは、病状が悪ければ入れ歯どころではない、ということです。病状にあわせた対応が必要でしょう。
 口から食べることができるようになる見込みが出てくれば入れ歯で噛まなくてもとりあえず入れてみることが最初の一歩と考えます。そうすれば、入れ歯が緩くなったのか、入らないのかわかり、早めに手を打ちやすくなります。

注:脳梗塞後などは誤嚥の可能性が考えられるため、ご飯を食べさせる前に内視鏡などによる診断をして、口から食べられるのか、それとも静脈や経鼻などの経管栄養、胃瘻など別の手段メインで行くのかをまず判断することが必要でしょう。

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