入れ歯とブリッジ 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野

入れ歯とブリッジどちらがよいのでしょうか?

2011-09-06

ブリッジとは、歯がなくなったところを埋めるために、隣の歯などを削って橋渡しした差し歯のことです。 歯を喪失した場合、その部位に対する治療法は何通りかあります。代表的なものとしては以下の4つがあげられるでしょう。

 ①何もしない
 ②ブリッジ
 ③入れ歯
 ④インプラント

①何もしない

 何もしない、というのは経過観察という意味です。たとえば一番後ろの歯1本のみを失った場合、1本だけの入れ歯を入れたり、歯を削ってかぶせものをしたりということはあまり行われません。治療行為が、治療効果と釣り合わないことが多いからです。よって、こういった場合、インプラントを選択しなければ積極的に治療しない場合があります。ただ、経過観察を選択することはあまり多くはありません。

②ブリッジ

 ブリッジは入れ歯と比べて以下の特徴があります。
 ・差し歯なので違和感が少ない。
 ・入れ歯と違って着脱しない。
 ・自分の歯の根を使うので感覚も自分の歯に近い。

 ・歯をかなり削らないと入れられない。
 ・保険適応には制限がある。

ブリッジの作り方

ブリッジ1

図のような状況が典型的なブリッジの適応となります。当然、隣にある2本の歯がある程度健康であることが要求されます。もしぐらぐらしているような場合はブリッジよりも入れ歯を選択することが多くなります。



ブリッジ2

この2本の歯を両方削ります。図の青い部分が削る部位となります。
厚みにして、1~1.5mm程度は削ります。歯の神経が生きている場合、麻酔をしないと痛みがでます。残念ながらかなり歯を削ることになります。



ブリッジ3

型をとり、ブリッジを製作します。ブリッジには歯がないところにも歯ができます。




brset.jpg

ブリッジを調整して装着します。完全に歯に接着させますので、入れ歯のように自分で取り外しはできません。入れ歯と違って形態は自分の歯と近くなりますので違和感はあまりありません。



ブリッジ4

このブリッジでは3本分のかむ力を2本の根で支えることになります。つまり2本の根は今まで以上の働きが要求されることになります。同様に2本の根で4本支えたりする場合もあります。この場合、2本の根は倍ぐらいの働きをしてもらわなければなりません。また、前歯よりも奥歯の方がしっかりした根を持っているため、大きな力に耐えられるという特徴があります。



 たとえば、2本の根だけで10本分のブリッジを支えることが可能でしょうか?さすがにそれは無理です。医療保険では、どこの歯がなくなった場合、何本以上の歯で支えなければいけません、といったことが決まっています。
保険適応外で治療をすればそういった制約はありませんが、たとえば2本の根で5本分とか、4本で10本などといった無謀な事はできません。
 よって、ある程度歯を失ってしまった場合、ブリッジの適応から外れてしまい入れ歯またはインプラントを選択するということになります。

③入れ歯

 入れ歯はブリッジと比較すると
・取り外す必要がある
・異物感がある
・かむ能力が低い
・慣れが必要

・ブリッジが不可能な部位にも適応できる
・ブリッジのように歯を削らないで入れられる(少しは削ります)。

 これを読むと入れ歯はブリッジと比べるとあまりいい物ではないように思われるかもしれません。確かに選択肢としてはブリッジできないので入れ歯という感じになります。しかし、入れ歯にも色々いいところもあります。まずブリッジする場合、歯をかなり削る必要がありますが、そういったことはありません。また、噛み合わせを簡単に大きく変更したい場合などは入れ歯の方が向いています。
 まず、自分の歯がないところを埋めるためにブリッジが可能かどうか、入れ歯でなければだめかどうかをしっかりと歯科医院で診断してもらいましょう。

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