即時義歯 岩手医科大学 歯科補綴学講座 有床義歯補綴学分野

前歯がぐらぐらしていてもう限界です。前歯がなくなる期間があると見た目的にすごく困ります。なんとかなりますか?

2011-09-06

 前歯が歯周病などでぐらぐらしてくる場合、1本だけではなく複数本抜歯しなければならない場合があります。そういった場合、橋渡しする差し歯は難しく入れ歯を選択しなければならないことがあります(差し歯がいいのか、入れ歯にする必要があるかは歯科医の診断が必要です)。

 奥歯などの場合、抜く必要がある歯をまず抜歯してから1ヶ月ほど歯ぐきの治りを待ってから入れ歯を作り始めるケースが多いかと思います。その場合入れ歯が完成するのは、歯を抜いてから2ヶ月以上経過してから、ということになります。
 前歯の場合、抜いてから2ヶ月放置するわけにはいきません。どうしても見た目の問題があるからです。そういった場合に用いられる入れ歯として即時義歯というものがあります。

即時義歯とはどのようなものですか?

 即時義歯とは、抜歯する前の型どりをとって石膏模型を作ります。その石膏模型の抜歯予定部位を削ってしまい、あたかもなかったかのように製作する入れ歯のことです。抜歯した当日に即時義歯をお口の中にいれることにより、見た目や噛み合わせを保つことができます。
 ただし欠点もあります。抜いた直後に入れ歯を入れるわけですから、抜いた部分と強く接触し痛みが強くなることもあります。また、抜いた後歯ぐきが治っていく過程で、入れ歯があわなくなります。これは抜いた後の歯ぐきは次第に下がってしまうため、入れ歯と歯ぐきの間に隙間ができるということです。そのため、歯ぐきがしっかりと治った後に修理を行う必要があります。

簡単に治療順序を説明すると

初診→簡単な型どり→噛み合わせ→抜歯、入れ歯装着

となります。症例に応じて噛み合わせを省いたり、簡単な型どりの後に精密な型どりを行う場合もあります。

即時義歯には制限がありますか?

 基本的に修理を前提として入れ歯を作りますので、金属を多く用いた保険のきかない金属床義歯などは適していません。修理にはプラスチック材料を用いるため、入れ歯の大部分がプラスチックでできていないと修理が困難になるためです。また、やはり抜く部分を予測し石膏模型を削って製作しますので、ぴったりあうというわけにはいきません。即時義歯を製作して抜歯した部位が直ってから、もう一度入れ歯を作り直すこともあります。

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